第183章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜
心当たりがあるとすれば、一つだけ。
遊園地を、六人で行くことになった事かな?とは、思ってるんだけど……
盛り上がってぽんぽんと、副部長とゆっちゃんと話を決めちゃったから……
「ほんと?昨日も、ブツブツ言ってた気がするけど……」
昨夜、寝る前に電話したら。
お弁当は俺の分だけで良いとか。
仮装は他のヤツに見せたくないから、しなくて良いのにとか。
ちょっと?ううん。もしかして、かなり拗ねてた?気も。
でも、目の前の家康は、怒ってるとか拗ねてると言うより……
どちらかと言えば……
「今は、怒るの通り越して呆れてる。……っとに。言っとくけど、あんまりお預けされると……悪戯するかも?」
「健全」だから。
(甘い意地悪だ)
そう、心で確信した時。
家康はスッと、
耳に顔を近づけ声を……
「今の内。二人っきりの時に、甘いのくれないと……後で、何されるか分かんないよ」
甘く掠めた。
火照る顔を自分でも意識しながら、
「キスしていいの?だめなの?それとも……してくれるの?」
ハロウィンにあやかった、誘い文句みたいな台詞に、覚悟を決めて。スニーカーを履いた爪先を少し上げる。
そして、
私なりの甘いキスを差し出す。
「イタズラ……。しないでね?」
唇を離した後、
踵を地面に着けてお願いすれば……
「半日は頑張れそう」
あと、もう少しで。
子供がお菓子を欲しがるみたいに、物欲しそうな表情をして、皮肉と甘さたっぷりの声を出す家康。
甘いのか意地悪なのか……
そんな家康に、今日は翻弄されそうな予感を薄っすら感じながら……
遊園地に着く前から、
ドキドキが止まらない。
「んっ……ッ……」
結局、集合時間より十分遅れるぐらい。
「今日のひまりも、かわい」
家康曰く、健全なキスを繰り返した。
集合場所の、時計台の下。
「ひまり。……顔赤いよ」
「もう、イタズラにあったみたいね」
副部長とゆっちゃんに、挟まれながら歩いた。