第183章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜
お父さんは
新聞に顔を引っ付けて……
「ひまりをお嫁にあげるのは、家康くんだと決めている。だけど……母さん〜っ」
ソファの隣に座ったお母さんに、縋り付いた。普段、テキパキしている営業マンの影は何処かに消えていた。
「はぁ……ひまり。遅れるといけないから、早く行きなさい。また、帰る時間だけ分かったら、連絡いれなさい」
「でも…お父さんが……」
いいよ。って、言ってくれないと。私はチラッと時計を確認した後、お父さんを宥めるお母さんを見る。
すると、
「いいの、いいの。何だかんだ言って、報告に来てくれた日。嬉しそうにビール飲んでたんだから」
手をひらひら振って「いってらっしゃい」と、お母さんが言った瞬間。
ピンポーン。
と、インターフォンが鳴った。
すると、お父さんがいち早く反応してガバッとソファから立ち上がり、リビングから出て行って……
お母さんはあちゃー。と、言うように手の平でおでこを一つ叩く。
私も大慌てで荷物を持って、玄関へと急いだんだけど……
「お、おはようございます」
「い、家康くん!この前は、言い忘れたが。くれぐれも、健全な高校生らしい、お付き合いを頼むよ!」
ちょっと、遅かったみたい?
ある意味、どっちも……。
私が玄関に着いた頃には、家康はお父さんに捕まっていて。ガシッと肩に手を置かれ、軽く前後に揺さぶられていた。
後、多分。お父さんが言ってる「健全」も、遅かったんだけど……ね。
その証拠に、家康はポーカーフェイスを崩し、決まりが悪そうに頬をポリポリ掻いてる。
けど、すぐにいつもの調子に戻して。
「はい。文字通り「健全」にお付き合いして、ひまりを大事にします」
そう、キッパリ言い切った。
(ばか。絶対、違う意味で言ってる)
でも……本当に大事にしてくれてる。
それは、嘘じゃないからね。