第181章 〜後日談〜特別なハジメテ〜※R18
きちんと片付けられた部屋。
一人部屋とは思えないぐらい、広い空間。でも家具は、大きめのシングルベッドに、二人掛けのソファ。
後は、テーブルと勉強机、本棚のみ。
六畳しかない私の部屋。
その倍以上あるのに、家具は私より少ない。
それにしても……
(いつ見ても、難しそうな本ばっかり……)
年頃の男の子なら、あっても不思議じゃない漫画本。でも、一つもなくて、隙間なく分厚い参考書、医学書、洋書……が綺麗に並んでいた。
まだ、一緒にいたくて。
ベットの上で座り、まだ、私は制服には着替えていない。家康はズボンだけ履いて、上半身は裸のまま。
帰らないといけないのは、頭では理解しても 、少しでも長く一緒にいたかった。
「帰ったら、進路希望。書かなくちゃ」
家康に背後から抱き竦められたまま、ポツリと呟く。
胸元まで巻きつけたシーツを、持ち上げて俯けば……
「俺のお嫁さんって、書く気になった?」
耳元で聞かれて、かぁっ。と、顔が熱くなる。
「やっぱり、休み時間の聞こえてた?」
「あれだけ、騒いでれば普通に聞こえる。政宗なんか、ずっと笑ってたし」
「だって、皆んな。声、大きいんだもん///」
「明日はもっと、騒いでそうだけど?」
ハジメテ貰ったから。
後ろからほっぺにキスされて、更に顔が熱くなった。全部丸聞こえだったことが分かり、
「もう!人事だと思って!」
皆んなに根掘り葉掘り聞かれる身にも、ちょっとはなって欲しいと怒ると、家康から「はいはい」と、軽い返事が返ってくるだけ。
「俺だって、色々とあるんだけど」
その言葉を聞いて、思わず振り返る。