第180章 〜後日談〜家康様side〜
ガラス越しに見られないように、こっちは嬉しすぎて普通に、ニヤケそうな口を誤魔化すのに必死。
前から、たまにトンデモナイ爆弾落としてきたけど……
「それに、家康はもうしっかり進路決めて、準備始めてるのに…私はまだ全然……」
だから、ちょっと不安。
彼女になってから、半端ない。
チラッと横目を向けたひまりに、ドキッと胸が鳴る。
しおらしい表情の中に見せた、今までにない清楚な一面。無邪気とか無垢とは別の……。
覗く、女の顔。
「……もしかして、困らせちゃった?」
「……そ…んな事ない。まだ、卒業まで時間あるし、ひまりのペースで決めればいい。あと、俺がいくら準備始めても医大は六年間だし二年の研修期間も必要」
下手したらひまりのが、先に夢叶えてるかも。
気休め程度にしかなんないだろうけど、そう言えばひまりはふわりと笑う。
そして、ショーウィンドウから離れた。
「ふふっ。なら、私のもう一つの夢は当分先かな?」
自分のデザインしたウェディングドレスを着る夢は。
顔の横で人差し指を添え、ショーウィンドウの中のドレスを指差す。そんな姿はまだあどけない。
(ほんと、秋空みたいだし)
以前よりコロコロ表情を変える頻度が、多くなったひまり。心境の変化か、何かは分かんないけど……
可愛さ倍増でほんと、困る。
「ワサビ喜んでくれるかな?」
「多分、尻尾振りながら突進してくるんじゃない。俺が帰ると真っ先にひまりの姿、探してたしね」
「ふふっ。だと、良いけどなぁ〜」
話をしている間に、俺の家に着いた。