第34章 月見ず月(6)
朝、目覚めたら家康が
ソファの横に寝てて……
私はガバッと起き上がる。
しまった!
ようやく自分があのまま寝ていた事に気づき、慌てて携帯の画面を見ると……
お母さんからの着信と、
「家康君とお付き合いしてるなら、一言ぐらい報告しなさいよね」
完全に勘違いされた一件のメール。
後でちゃんと事情、説明しないと!
お母さんは日頃から、家康贔屓で早くお嫁に貰ってもらいなさい!が口癖。
おばちゃんはおばちゃんで、早くお嫁に来てね!って私を見る度言っている。
二人で結婚式はいつにするとか勝手に盛り上がる前に、訂正しておかないと!
「家康、起きて……っ!」
「ん…っ……まだ、眠い」
家康は起きる気が無いみたいで、反対側に転がりまた寝息を立て始めた。
(もう!寝起き良いって、言ってたのに)
私の中で、いつの間にか気まずかった数日間が消えていて、悩んでた自分がバカらしくなってくる。
事の発端は、
理由も分からないキス。
好きな子いるのに、
何で私にしたのかが分からなくて。
でも、この数日
一番悩んでたのは……
(キスされても、嫌じゃなかったこと)
前にワサビと間違われた時は、ショックだったのに。
ーー……ひまりとなら、していいの?
この前のは、
私としてだったから……?
つい思い悩んでいると、
「ひまり……」
昨夜みたいに、
寝言で名前を呼ばれた。
……でも違ったみたい。一瞬そう思ったけど、むくりと起き上がる家康を見て、普通に呼ばれた事に気づく。