第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
佐助くんは眼鏡をクイッと上げ、私に丁寧に謝ってくれる。
「ううん。でも、少しでも佐助くんの研究の力になりたいから!この文、預かっても良いかな?」
「っとに。お人好し」
「でも、佐助くんのアイテムやアドバイスのお陰で、家康のこと好きだって気づくキッカケにもなったんだよ?」
頭を下げて後ろ向きに家康を見上げれば、目があった瞬間、プイッと逸らされてしまい……
「……アイテムとか知らないし。ってかそんな可愛いこと言うの、反則。せめて、二人の時に」
ちゃんとボソボソ声は、聞こえたけど。顔が赤い理由を聞いても、きっと夕陽のせいにするから、何も言わず私はクスクス笑った。
「皆んなーっ!集合!!」
私は声を大きく出して手招きしながら、ジャンプ。
佐助くんの提案で私達は記念撮影をすることになり、石碑が見えるようにして私と家康は前に座る。
私は家康の左側。
左側の石碑の角に秀吉先輩、明智先生。
反対側には政宗と三成くん。
そして、石碑の後ろに織田先生。
赤い夕陽をバックに。
佐助くんは本格的な脚立付きのカメラを用意してくれていて、準備の間に皆んなで話をする。
「そう言えば、家康。お前の文は何て書いてあったんだ?」
「やはり、よく似た内容でしたか?」
政宗と三成くんが、そう聞くと家康は「内緒」と言って拗ねたように二人を無視するのを見て……
(さっきも、手紙の話をしてた時に拗ねてたみたいだけど)
私も何だか気になって、家康の耳に手を添え「ちょっとだけでも、教えて欲しいな」と、聞くと。
家康は「はぁ…」とため息を吐きながら、片方の肩に掛けていたブレザーの裏ポケットからガサゴソと、取り出した。