第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
織田先生は、一通目と二通目の手紙は神様のイタズラって言ってたけど……
なら、私が……
「戦国姫に選ばれたのは、文の差出人と名前が同じだったから?」
「ひまり」って人が、戦国姫の可能性が高いから?それに、あの二通の手紙は差出人不明のままってこと?
いくらでも浮かんでくる疑問。
皆んなの顔を見るように、キョロキョロ首を動かして一つ一つ聞いてみる。
「まぁ、その辺りは深く考えなくていいんじゃないか?」
「クッ。お前が選んだのは家康に変わりないからな」
秀吉先輩と明智先生がニヤニヤしながら、私と家康を交互に見る近くで……
「私は佐助さんに今晩、書物をお借りする予定です。実に興味深い」
「差出人なんか、この際気にするなよ」
元々読書好きの三成くんが目を輝かせる横で、政宗はあっけらかんとした口調で笑う。
書物の存在を知っていたのは家康、織田先生、佐助くんの三人だけ。皆んなはただ、文の中には家康と私の名前が書いてあったから、いずれはこうなる気がしてたって……口々に話した。
(あれ?そう言えば…)
私が貰った手紙のこと。
何で皆んなは知ってるんだろう?
家康と佐助くんはわかる。織田先生も…あれ?
(ん〜〜??)
見上げた空。そこには、
いつの間にか赤い夕陽が浮かび……
「……巡り合う運命。あくまでも言い伝え。しかし、こうして戦国武将と同じ名を持つ六人と、戦国姫かもしれない「ひまり」と同じ名を持つ君が、この場で再会を果たしたのは事実」
佐助くんは淡々とそう言って、
「俺はワームホールについて調べながら、君の様子を影なり日向なり、見守らせて貰っていた。勝手なことをしてすまない」
石碑のレプリカを差し出すのを見て、腕を伸ばす。
「そのワームホールはよく分からないけど、でも佐助くんに色々アドバイスして貰ったお陰で……」
(自分の気持ちに気づくことが、出来た)
私は書物とレプリカの二つを大切に胸に抱え、チラリと家康を見て足元に視線を落とす。
胸が膨らむ幸せの心地良よさ。