第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
弓乃と政宗から遊園地のお誘い。
「テスト終わってからの、楽しみね」
「そうですね。では、また明日……ここで、お待ちしています」
約束ですよ?
三成はニッコリ笑い、副部長の名前を呼んだ。
「下の名前知ってたのね?ちょっと、意外。またね……み、…三成くん」
手を振り、鞄にを持つ。トレドマークだったポニーテール。部活を辞めてから、結う事があまりなくなり、長い黒髪を揺らしながら図書室から出て行った。
昼休み終了前__
屋上から教室に戻ろうとした時。
「あ!大変!レプリカの石碑に置いてきちゃった!」
「俺、部活の事で呼ばれて。……放課後、行くし。その時に」
「でも!織田先生に貰った大切なモノだから!急いで取りに行ってくる!」
私は持っていたお弁当箱を家康に預けて、呼び止められるよりも先に、走り出す。
「ひまり!……はぁ。…っとに」
今朝きたばかりの裏庭。
私は全速力で石碑に向かい、裏に回る。
「うそ!ない!ど、どうしよう!」
キョロキョロと石碑の下を見ながら…
しゃがみ込み、芝生の上を探す。
でも、どこにもなくて。
サッと血の気が引いて、
飛び上がるように立ち上がる。
(家康の手紙もあそこに…っ)
忘れ物とか落し物で届けられてる可能性も考え、また来た道を全速力で戻ろうとした時。
シュッ。
「昨日は挨拶もなしに、すまない」
「わぁ!さ、佐助くん!?……あ!」
今回は気が焦っていたこともあり、大袈裟なリアクション。私は後ろに仰け反り両手をパタパタ回しながら、ドスン!尻餅を派手に着く。
「続けて、すまない。君は、慣れているから大丈夫だと思い」
「いっ……だ、大丈夫!ありがとう」
表情一つ変えない佐助くん。
でも、声のトーンはいつもより優しい。差し伸べて貰った手を取り、起き上がると……
「え?佐助くんがレプリカ拾ってくれたの?」
「石碑を調べていたら、見つけてね。放課後まで、預からせてくれないか?」
「それは全然構わないけど……何か調べているの?」
「……大したことじゃない。ただ、後で君に一つ。見て貰いたいものが」
私がコクリと頷いたタイミングで予鈴がなり、放課後は家康と一緒にここにくる予定があることを伝えて、佐助くんと別れた。