第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
お米一粒残さず食べてくれたお弁当。
喜んで食べて貰えたことが、何よりも嬉しくて……
「また、作ってくるね!」
張り切る私。
「朝練ない時で良い。負担かけたくないし。それより……」
デザートは?
ふにっと今度は唇を突かれて……
「校内はだ、だめっ///禁止だってば!」
「糖分も必要。ほら、早く口……薄っすら開けて」
「開けない〜〜//////」
必死に抵抗しても、ガシッと捕まえられる。力で勝てるはずもなく、膝の上に乗せられ……家康はゆっちゃん達に背中を向けた瞬間。
目の前に広がる青空と……
「いただきます」
(もう、誰これ……///)
クラクラしそうな程、甘いマスクを付けた家康。力だけじゃなくて、色々勝てそうにないみたい。
「おい。俺ら毎日、アレ見せつけられんのか?」
「いいなぁ……。せめて私にも食べさせるぐらいしてよ!あ〜……っていったぁ!!」
「……お前はそんなキャラじゃねえだろ。弓乃」
「へ///い、今!名前!!」
「……気のせいだ」
全員が食べ終わり。
屋上のフェンスに寄りかかって、空を見上げる。流れる雲を見て、何の形に見えるか私とゆっちゃんがはしゃぐ両サイドで……
「行楽日和か。家康、お前そう言えば遊園地のチケット持ってたよな?」
「……何で、知ってんの。中間終わったらひまりと『おい、家康が遊園地連れてってくれるらしい』」
「は!?ちょ、何言って」
やり取りを聞いて。
「「行きたーい!」」
私とゆっちゃんは空高く手を挙げて、賛成と叫ぶ。
折角だから、あの二人も誘おうよ!って、盛り上がる私の隣で家康は思いっきり両頬っぺを抓る。
「いひゃい!!」
「二人で行くつもりだったんだけど!」
珍しく語尾を強めに言うと、不機嫌全開。物凄い眉を引き釣り上げた家康に、私はただただ苦笑い。
「あれ??私、まだ副部長でアドレス登録してある」
「そう言えば……あの先輩の名前、知らねえな。苗字は確か天野(あまの)だったか?」
私は知ってたけど……
「ひやあい!!いひゃい!」
「どうすんの?あの二人、三成と副部長にメール打ってるけど」
とても答える暇なんて、与えて貰えなかった。