第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
昼休み___
神様の贈り物かと思うぐらい、晴れ晴れとした天気。
授業中。家康と目が合う度そわそわして、ようやくちょっと落ち着いた頃。
お弁当二つ持って。
青空の下。
恒例の四人で屋上で昼食。
天音ちゃんの話を家康から聞いて、ゆっちゃんは顎に手を添え膝に乗せたお弁当と睨めっこ。
私は気になって……
「どうしたの?」
真剣な顔して?と、聞くと。
「いや……何かさ。改めて、う〜んひまりの偉大さを知ったというか〜やっぱ!親友ポジションは誰にも譲れない!!」
「わっ!!」
ぎゅう。
ゆっちゃんは急に飛びついてきて、頬をすり寄せた。私はポロリと落ちそうになるタコさんウィンナーを、箸でしっかり掴んでパクッと口に運ぶ。
「なんもぐん、あんもぐっ(何か分からないけど、ありがとう)」
「ひまり、何言ってるかソレ。多分、俺しか分からない」
反対側から腰元に伸びてくる腕。
ベリッとゆっちゃんから引き離され、気づいたら家康の体に密着。
「あと、小春川。俺のひまりだから」
「徳川。あんたね絶対、束縛彼氏になるわ!……って!政宗!それ私が食べたいから、取っといてって頼んだじゃん!」
「はぁ?何でお前にやらないといけないんだ?」
ふわふわのだし巻き卵。
政宗はパクリと口の中に放り込んだ。
(ふふっ。ゆっちゃん頑張れ)
思わず心の中で声援を送ると……
ふにっ。
「何、ニヤケてんの?」
無意識に笑ってたみたいで、家康はふにふにふにってしつこいぐらい、頬っぺた突いてくる。
「も〜内緒だよ!それより、金平ごぼうの辛さ大丈夫?」
「全然大丈夫。普通に美味いから」
「良かった〜お母さんが唐辛子流石に入れすぎじゃない?って心配してたから」
家康用に一品だけ特別に作った、金平ごぼう。卵焼きと、唐揚げと、おひたしは私と一緒。
「ひまりのも、食べたい」
「良いけど、甘辛いよ?」
それでも食べたい。家康はそう言って顔を近づけて、口を開ける。
私は自分の分から一口分取ると、
「はい。あ〜ん」
そう言って箸で運んだ。