第177章 涙色の答案用紙〜あとがき〜
教室の前__
一限目が始まる前の休み時間。
私と家康は扉の前で、立ち止まる。
驚くぐらい静かで……
口元に人差し指を添えて、小首を傾げた。
「あれ?一限目って移動教室だった?」
「確か……。一限目は織田先生の歴史」
???
家康はちょっと眉を顰め、
扉に手をかけ……
躊躇なく一気に開けて……
ガラッ。
パァンパァンーっ!!
「「幼馴染卒業おめでとうーっ!!」」
軽い破裂音とひらひら舞う銀テープ。
「わぁっ!!!」
グイッ。
ビックリして一歩下がれば、扉の角に背中が打つかる前に家康に支えられて、何とか衝撃は免れたけど……
「お熱いですなぁ〜〜」
すっぽり片腕の中に収まる私を見て、クラスの皆んなが口笛を吹く。
かぁぁぁ//////
頬っぺたを押さえて俯くと、次々と……
「頼むから教室でいちゃつくなよ」
「ひまり照れちゃって可愛い〜」
注がれる声。
冷やかされ、益々顔が上げられない。
なのに家康は……
「髪にテープ付いてる」
スッと指先で払うと、一房掴んで「この香り、ハマりそう」とか、わざと揶揄うように耳元で囁くから……
私の顔、多分茹で蛸みたいになってる。
「徳川家康♡姫宮ひまり」
黒板に書かれた相合傘。
「ちょ、ちょっと何処行くの?」
「俺の念願の夢を叶えにいく」
(夢?家康の?)
訳もわからないまま、
教卓の前に立たされ……
羽交い締めみたいな体勢で、
家康に後ろから抱き締められた。
「俺の彼女。手、出さないでよ」
ばか///
「俺の授業前に、貴様の下らん夢など叶えるな」
「いっ!!」
見事、織田先生から愛の雷を家康は落とされ、罰にクラッカーのゴミを掃除するように命じられていて……
私は、クスリと笑った。