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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第176章 涙色の答案用紙〜最終章〜※後編





時間も忘れて。
朝のホームルームも忘れて。
笑い声と言い合いでチャイムの音もかき消した後。

芝生の上で、
見つめ合い……


家康は突然、真剣な顔つきに変わる。

まるで、男の子から男の人に変わったように、目を細めると……



私の手をそっと持ち上げて、




「……言い伝えごっこ。半分だけ終わらせる」




小指に口づけを落とした。


王子様みたいな仕草に、一瞬胸がドキッとして……ただ、大人しくその様子を見ているだけが精一杯。

そのまま胸の前で手を上げているように言われて、よく分からないまま……
コクリと頷く。




すると、家康は




「今の俺は、これしか渡せないから」




持っていた自分のオルゴール。
それをパカっと開けて……



中からシルバーの
小さな指輪を取り出す。





「白詰草の方は、いつか必ず」





「って、覚えてないか」
家康はポツリと呟く。


(ちゃんと、思い出したよ)


そう言いたくても、言葉が出てこない。


その指輪のモチーフを見て、
視界がぐにゃりと歪んで………


私は、涙を堪えるのに必死で……





「ひまり……」





スッと下から支えるように、


重ねられた手……


家康は軽く深呼吸すると、


私の目を真っ直ぐに見て……







「俺の彼女になって下さい」







指輪をはめてくれた。


左小指に光る
三つ葉のピンキーリング。

嬉しくて、涙がそこに落ちる。




「………っ…つ」




返事は?



手をぎゅっと顔の前で握って。



「………はいっ…」




私は満面の笑顔で答えた。


ホッとしたように家康は息を吐いて、ちょっと照れ臭そうに微笑むと……





「その笑顔……」





触れるだけのキスをする。

くすぐったい気持ちになって、
上目遣いで見上げれば……



今度は顎を持ち上げられて……




……綺麗過ぎて。
また、恋したんだけど。




涙が溜まった目尻に、落とされる口づけ。



「あ、りがと。大切にするね」



片目を閉じて、目が合うと。



どちらからともなく目を閉じる。



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