第176章 涙色の答案用紙〜最終章〜※後編
腕で目元を隠して、
芝生の上に寝転ぶ家康。
気づいたら私は腕に抱かれながら、
うつ伏せの体勢で乗っていて……
(コレ…家康の心臓の音……)
トクトク鳴る鼓動。
それに寄り添うように、身を預ける。
耳に心地よく届く音。
でも、胸は激しく騒ぎ出して……
何だか落ち着かなくなる。
顔だけ上げて「家康?」って、呼ぶと大きく胸が一回沈んで……
すぐに膨らんだ。
「……はぁ……破壊力半端ない」
ため息混じりの言葉を聞いて、
ゆっくり身体を起こす。
家康も腕を顔から外して、赤らめた目で恨めしそうに私を見上げると……
流れ落ちた髪に触れ……
「……ほんと予定外。格好良く決めるはずだったけど」
私を膝の上に乗せたまま、
むくりと起き上がり……
コツン。
心臓壊れたらどうすんの?
両腕で引き寄せ拗ねたように、そう言いながらおでことおでこをぶつけた。
「心臓の音、ちゃんと鳴ってたよ?」
「そうゆう問題じゃない」
「ドキドキ動いてたよ?」
「それは、誰かさんが可愛いから」
「っ///私だって、止まるかと思ったもん」
「……俺は、一瞬止まった」
あの顔は反則とか。
あの一言は限界とか。
間髪入れず答える家康。
だんだん恥ずかしくなってきて、頬に集まる熱。両手で隠したいのに、いつの間にか左手はまた繋がっていて、動かしても全然離してくれない。
(……意地悪)
だから、意地みたいに瞬きも落とさずじっーと睨めっこして。
同時に、口元が緩み始めて。
「………………」
お互い限界が近づき……
「「………ぷっ」」
同時に吹き出した。