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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第176章 涙色の答案用紙〜最終章〜※後編




(此処じゃないとか?)


そして何気なく、
オルゴールを裏向けた時だった。






『だぁれだ?』







頭の中に届いた言葉。



その瞬間。



視界が遮られ……




サァァァ………


風が運んでくる……



クラクラしそうな程、甘い香り。



(……ほんと)



俺たちの答え合わせ。



(いつから、三つになったわけ?)



手紙、オルゴール。
ひまりが隠れんぼした理由。

それが分かり、込み上がる愛おしさ。

そっと視界を塞いだ手を、
傷つけないように柔らかく握り……


軽く前に引っ張る。


髪の香りは違う。


でもお陰で一つ気づいた。


あの病院の庭でした、
三人の隠れんぼ。



ーーひまりだったら、髪の香りですぐわかるから。



あれ、間違い。訂正しとく。


髪の香りじゃない。



俺が何で分かったか……







「……この手は、俺のお姫様」







このぬくもりが教えてくれた。


暗闇から一気に光が入り、
一瞬、日差しが眩しくて目を細める。






「……ずるい」






いじけたように呟く小さな声。

ずるくないし。
俺のお姫様は元々一人しかいない。

掴んだ手。

それが離れようと動く。

右手だけ離して、

でも、左手は離してあげない。





「……ほら、正解」





そう声に出しながら、
身体ごと振り返り……
俺を見上げるひまりの前髪に触れる。ピクッと反応して目を閉じるとこ、ほんと小動物みたいで可愛いから、つい苛めたくなるけど……


(今日は我慢しとく)


そっとおでこを出して、
そこに口付け落として……


一つ正解したご褒美を貰う。



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