第175章 涙色の答案用紙〜最終章〜※中編
職員室に入ると……
「ふんっ。やっと来たか」
「俺が来るの分かってたような、口振りですね」
「ひまりから、預かってるならな」
サッと手渡された、二通目の手紙。
『貴方を求めて、待ってる』
急いで手紙を封筒に戻して石碑に向かおうとすると、織田先生に呼び止められ、立ち止まる。
白い封筒をひらひらさせ、
「ひまりからの反省文。ほぼ、内容は似ていた。やはり、戦国姫の生まれ変わりかもしれん。だが、貴様が言っていたように、ひまりはひまりだ」
二人で新しい歴史を刻め。
織田先生はホームルームは見逃してやると言い、え?と、聞きかえすと同時に、早く行けと言うように手を払う。
「……ありがとうございます」
自分でも驚くぐらいすんなり出た、感謝の言葉。一礼して、俺は下駄箱に向かい、そして……
「三通目……」
一通目と二通目は白い封筒。
三通目は三つ葉の模様の封筒。
涙色に染まり……
一度丸めたのが皺だらけ。
中の文字は滲んで、読めなかったが……
宛名を見た瞬間。
(俺のはまるっきり一緒)
なんとも言えない吐息が溢れた。
念の為、ひまりの下駄箱を確認。
登校時に見た時はあった靴が、今は無くなっていた。