第175章 涙色の答案用紙〜最終章〜※中編
三階に向かう階段途中。
「どうした?お前が走ってるの珍しいな」
「秀吉先輩。ひまり、見ませんでした?」
「ひまり?姿は見てないな」
「姿は??」
家康は眉を寄せ尋ねるが、秀吉はただ爽やかな笑みを浮かべるだけ。保健室にでも、いるんじゃないか?と、家康の背中を押す。
「最後まで二人らしいな。いや?最後じゃなく、始まり……か」
ポケットから取り出した一枚の手紙。タレ目が更に下がった。
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秀吉先輩へ
弓道部に入るきっかけを下さり、本当に感謝しています。秀吉先輩は、私の中で頼れる憧れのお兄ちゃん的、存在で……色々と相談乗って貰えて、教えて貰えて、本当に嬉しかったです。来春には、先輩が卒業してしまうかと思うと寂しいです。それはきっと家康も同じで。私達、二人とも秀吉先輩が大好きだから。
卒業しても「戦国学園」、弓道部に来て下さいね。
追伸、ふふっ。先輩?ファンの子、泣かしちゃだめですよ?
ひまりより
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保健室。
「失礼します」
「何だ?朝から珍しい来客だな」
くるりと回転椅子から立ち上がり、光秀は白衣を翻す。
「クッ。ひまりならいないが?」
喉を転がして笑い、信長のとこに修学旅行で出された反省文でも渡しに行ってるのでは?と、意味ありげに笑う。
「反省文……って!まさか恋文!本気で書かせて……失礼しました」
「クックッ……どうやら、全員に書いたらしいな。現代の戦国姫も」
デスクの上に置かれた、一通の手紙。
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明智先生へ
ふふっ。いつも揶揄われてばかりいたので、何を書けばいいのか少し悩みました。先生はちょっと不思議な雰囲気がして。最初は、戸惑ってばかりいて……でも今は、影ながら凄い支えて下さっていたんだなって、凄い優しい方なんだって思っています。家康と先生の意地悪はちょっと違うけど、優しい所は同じかな?先生の運転する横顔。実はドキドキしてました。
「戦国学園」で、過ごせる時間と先生との時間、これからも大切にします。
ひまりより
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