第175章 涙色の答案用紙〜最終章〜※中編
渡り廊下。
一年生の教室前の窓。
「家康先輩。おはようございます」
「……おはよ」
「ひまり先輩と、今朝はご一緒じゃないんですね」
「……今、かくれんぼ中」
ボソッと素っ気なく返事して、家康は前を通り過ぎる。三成は一瞬、面食らったように目を開き……
「戦国姫も茶目っ気がある方。だったのでしょうか?」
一枚の手紙に視線を落として、眼鏡を持ち上げた。
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三成くんへ
いつも素敵な笑顔ありがとう。優しくて、頭も良くって、少し天然な所。私は好きです。三成くんのエンジェルスマイルで、家康の意地悪なんて弾き飛ばしてね?でも、本当は家康も三成くんのこと、ちゃんと見ててね。ちょっぴり、伝わりにくいかもしれないけど。次の部長候補「まぁ…ドジさえなければ、今んとこ。三成しか」ってね?
ふふっ。「戦国学園」に来てくれてありがとう。
ひまりより
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二年生の教室。
「徳川ー!ひまりは?」
「何だ?今日はてっきり、いちゃつきながら登校するかと思ってたが」
「……今、探してんの」
家康はひまりの鞄があるのを確認して、教室から出て行く。
「何だ……手紙か?」
引き出しを開けて気づく政宗。窓辺の壁に凭れ、それを読み……
「何?笑ってんのよ。もしかしてラブレターじゃないでしょうね?」
「まぁ……そんなとこだ」
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政宗へ
優しくしてくれて、本当にありがとう。一番、辛い時に側にいてくれて。泣いてる時に慰めてくれて。凄く、心は揺れたんだよ。政宗ならきっと大切にしてくれるって。なのに、甘えるだけ甘えて本当にごめんなさい。政宗も政宗が作る料理も大好きだよ。家康も、政宗の特製は絶賛してからレシピまた教えてね?
この「戦国学園」で政宗に出逢えて本当に良かった。
ひまりより
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