第33章 月見ず月(5)家康様side
窓を叩きつける雨音に、
俺は目を覚ます。
頭痛い。
けど、汗もひいて薬が効いたのか
呼吸も幾分かマシになった。
久々に風邪なんか引いたし。
まぁ、お陰でひまりに
優しくして貰えたし。
朧げな記憶。
熱でぼっーとしてた分、
はっきりとは覚えてないのが
残念だけど。
ーー大丈夫?
ーー今、熱測るからね?
微かにひまりの香りが
部屋にして……
(風邪なんか引いてなかったら、完全に襲ってたし)
今度、俺以外の男の部屋には入るなって釘刺しとかないと。
(まだ、怠いし。予備校、サボろ)
俺は暗闇の中、手を動かす。
何時か知りたくて、枕元に
置いた携帯を探り始めた。
(……確か、この辺りに)
ベッドの端に手を伸ばし、
シーツを擦りながら滑らせ、
固い感触を求めて動かしていると……