第174章 涙色の答案用紙〜最終章〜※前編
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高校生二年生の春。
石碑で言い伝えごっこの続き。
「貴方はある、
戦国武将の姫君に選ばれました」
そして、動き始めた運命。
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pipipi……
俺はいつもより一時間遅く鳴り出した、アラームを聞いて目覚める。
枕に突っ伏したまま腕だけ布団から出し、手探りで携帯を見つけ音を止め。
欠伸を一つ落とし。
再び、塞がりそうな目をこする。
そして……「受信メールあり」携帯の画面表示を見て、もぞりとベットから起き上がる。
メール画面を開いて。
ひまりの名前に慌てて、ボッーとした頭を叩き起こす「先に行ってるから、探してね」寝起きとは思えない程、指を素早く動かして……返信。
(っとに。……困ったお姫様)
携帯の画面を視線を向けたまま……自然に口元が緩む。
俺は、ハンガーから制服を取り外す。
ほぼ毎朝、同じ動作。ルームウェアの上着から脱いで、シャツをボタンを留めずとりあえず羽織、ズボンをまず履く。で、片手で下から順にボタンを留め、靴下、ベルト、最後に赤いネクタイ。
紺色のブレザーは羽織らず、鞄の上にバサっと置き……
空気の入れ替えに、部屋の窓を開放。
九月中旬。
ようやく風がさわやかなり、残暑もそろそろ衰え昼寝には最適な時期。
俺は窓から離れ、机の引き出しを開ける。オルゴール、書物……幸村から預かった封筒を出しかけて、その下にある色褪せた紙に目がいく。
(……幸村のは口実に使えるかも)
そう考え、引き出しに戻す。
俺は、予定を見てほぼ全教科の教科書を鞄の中に詰め、チャックを締める。「今日」ひまりに渡すモノは、三つ。ズボンのポケットにオルゴールだけ、仕舞う。
腕時計をはめ時間を確認。
鞄とブレザーを掴むと一階へ向かった。