第174章 涙色の答案用紙〜最終章〜※前編
秋の薄い雲が
真っ青な空に張りつく。
この季節、よくことわざで聞く……
「女心と秋の空」
変わりやすい秋の空模様のように、
女性の心は移り気だという例え。
(昨日の私は、まさにそんな感じだったのかな?落ち込んだり、喜んだり、苦しくなったり、ドキドキしたり、忙しく感情がコロコロ変わって……)
今もそうかな?
返事がない固いコンクリートに映る、
自分の影に聞いてみた。
何度も歩いた、通学路。
春の新学期は二人。
一歩先を歩く家康を追いかけて、もし彼女が出来たら?とか、モテるのに何で作らないのかな?とか。
(呑気に考えて歩いてたよね?)
でも……。
あの時にチクリと痛んだ胸。
心は嘘つけない。
今は、それを知った。
秋の新学期も、
今日みたいに一人で歩いて、ワクワクしてドキドキしながら、見慣れた景色が別世界に見えて。
(はしゃいで、ジャンプしたりクルクル回ったり)
それぐらい……。
私はあの時に、胸を躍らせた。
心の傷は消えないけど。
今は、もっと大切な心を見たい。
真っ直ぐ前を向いて。
通り過ぎる学生、ランドセルを背負う小学生。急ぎ足のサラリーマン。
横から見て、上から見て、
下から空を見上げている間に……
私は『戦国学園』に辿り着いていた。
校門を潜り……
ピロンッ。
まだ、誰もいない静かな校庭。
そこに、一歩踏み込んだタイミング。
届いた一件の返信メール。
『絶対、見つける』
私はクスリと笑い、
隠れんぼ?を始めた。
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運命の人とは、違うかもしれない。
それでも良いと……
私のココロが選んだのは……
初恋と同じ人。二度目の「恋」をした。
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