第174章 涙色の答案用紙〜最終章〜※前編
トントン……
まな板の上で包丁を動かして、人参とごぼうを同じ大きさに切る。
シャカシャカ……
卵を二つ割って、ボールの中を菜箸でかき混ぜ、砂糖をほんの少しと出汁を入れてまた数回混ぜてから……熱した四角いフライパンに注ぐ。
ジュワッー……
すると黄色の膜が広がって……
焦げないように気をつけて、くるくると三回同じ工程を繰り返すと、ほかほか湯気たつ卵焼きの完成。
「あら、なかなか手際良くなったじゃない?見た目もバッチリだし、栄養バランスも……って、そっちは特別ね」
「ふふっ、これだけね?お父さんのお弁当箱、使っても良かったの?」
ピンク色のお弁当箱。
その隣に一回り大きなお弁当箱。
お母さんは、いいのいいの。
ただ、それだけ言って笑う。
私も一緒に笑って、今度はお父さんに作るね!と、約束した。
そして、
(よし!完成!)
キュッ。
お弁当袋の紐を締めて……
後片付けをして……
ピンクのエプロンを外す。
お母さん特性ふわふわオムレツ食べて。
「今日の魚座のラッキーアイテムは、三つ葉。恋愛運はバッチリ!すぐ近くに運命の人が!」
占いコーナーを横耳に、はにかむ。
次は一番時間が掛かる、洗面台へ。
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戦国武将と同じ名前の六人。
一人一人と、
時間を過ごす内に…
少しずつ「何かが」が、見え始めた。
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