第174章 涙色の答案用紙〜最終章〜※前編
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高校生二年生の春。
始まりは一通の手紙。
「貴方はある、
戦国武将の姫君に選ばれました」
そして、始まった運命の人探し。
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pipipi……
私はいつもより一時間早く鳴り出した、携帯のアラームを止めて。
くまたんと一緒にもぞもぞと、布団から顔を出す。
大きな欠伸を一つ。
大きく伸びを一回。
そして……「おはよう」携帯の画面に呟くように挨拶して、ベットから降りる。
メール画面を開いて。
慣れた手つきでパッパッとある文面を作ると「送信」ボタンを押す前に、一度確認してから……送り出す。
(まだ、寝てるかな?)
携帯の電源を消す前に、そう聞いて……笑顔が自然に溢れた。
夏休み明けの新学期。
クリニーングに出してパリパリだった制服はもうすっかり馴染んで、ブラウスのボタンを上からはめ、スカート、紺ソックスを履き、襟元に赤いリボンを付ける。
ハンガーに掛かる戦国学園の校章が付いた、紺色のブレザー。
今の時期は、着用を義務付けられていない期間だから、自由。私は、ピンク色のカーテン開け、窓も全開に開ける。
春とは違う香り。
秋風がさわさわと木の葉を揺さぶり、届いたひんやりとした空気。
その風を頬に浴び、ブレザーを羽織った。
学校に行く準備をして、鞄の中にしっかりと「今日」に大切なモノを三つ入れる。
念入りに確認して、時間も確認して、私は部屋からキッチンに向かった。