第173章 涙色の答案用紙(36)修学旅行編
イベントクリア後。
緑色のハート形の宝石。
三つ揃って穴に埋め込んだ 、
石碑のレプリカ。
(やっぱり、三つ葉の形だよね?)
それをじっと見つめ……
さっき、先生と家康が手合わせ中にしていた会話を思い出す。
ーー俺は俺。ひまりもひまり。戦国武将、戦国姫……運命……言い伝えには頼らない。
(戦国武将……戦国姫…言い伝え…)
ーーその割には、手紙に手掛かりを残したようだな。
(手紙の手掛かりって一体……)
私が鞄の中から三通の手紙を取り出す。
すると、上座にいた織田先生が手招きするのが見えた。何だか、そんな仕草さえ、温かく感じてしまうのは先生の心が、大地のように広くて強いからかもしれない。
私だけじゃなくて、家康のことも凄く気に掛けているのが……改めて今日、知り心が緩む。
はい。一つ返事をして、手紙と石碑のレプリカを胸に抱き、側に行くと……
「……持ってきていたのか」
スッと伸びてきた手。
私はその手に手紙を渡す。
「先生は、手紙のこと知ってるんですか?三成くんも以前、一通目の文面をチラッと話していて。それに家康も知っているみたいだったし……後、運命とか言い伝えって……学園の?」
私は次から次に質問を投げかけた。
今、家康は皆んなと扮装部屋まで着替えに戻っている。織田先生は、まだ着替えないみたいで、この広間に残っていた。
「元気になった途端、質問攻めとはな。貴様は見ていて飽きない」
脇息に寄りかかり、笑みをこぼす姿は、私の中の歴史人物「織田信長」と、少し重なる。突拍子もない言動。でも、それにはちゃんと深い意味や理由があって……
身分に括らず、分け隔てなく接する。
冷たいイメージも戦国時代という、乱世の背景からつい連想してしまいがちだけど、今は不思議とそんな感じはしない。