第173章 涙色の答案用紙(36)修学旅行編
俺は、腕を下ろして今度はひまりの左胸の前に、手を添え……
「痛みが消えるように、外側は俺が塞いで忘れさす。内側は……ひまりが向き合って、心の声聞かせてくれたらいいから」
それなら今の俺にも出来る。
ひまりが辛くて見たくない時は、一瞬でも忘れさせてあげれば良い。辛くて見てしまった時は、一緒に見れば良い。
「言っとくけど、笑顔だけじゃない」
俺はひまりの肩に腕を回して、
髪を搔き上げる。
全部の感情を
いっぺんにぶつけてくる。
そんな所も好きだと。
ひまりにしか
聞こえないように、伝えた。
「ありがとう」
そう言って、
俺にしがみ付く現代のお姫様。
ーーほんと!痛くない!魔法みたい!
多分、あの時と同じぐらい……
ふわりとした笑顔を浮かべていた。
抱き締めてたから、見れなかったけど。
「見事、切なさ少し。三つ目のミッションクリアです」
「え?でも石は?」
「クッ…。今、家康が届けたではないか」
「ひまり。胸のポケットを見てみろ」
ひまりは、
ブラウスの左胸ポケットに手を入れ……
「あ!本当!凄い!魔法みたい!」
思わず、俺は吹き出す。
「何で笑ってるの!」
「……内緒」
二人で石碑の
レプリカに三つ石をはめ込み。
イベントをクリアした。