第173章 涙色の答案用紙(36)修学旅行編
あの春の入学式。
朝のホームルーム終了後……
ーー何ですかこれ?
ーー全員が揃ったからな。
俺以外の五人は、戦国姫からの再会を願った文で学園に集まっていた。そして、全員がひまりに好意を寄せていたのが、あの手紙の始まり。
ーーどっかの馬鹿が、書物を持っているみたいだから。
その言葉を聞き、ひまりに書物を渡したのが織田先生だと確信。
ーーあんな理由で、好きになられても困ります。
ーーフンッ。青二才が偉そうに。その台詞は、選ばれてから堂々と言え。
鈍感なひまりに、少しでも恋愛を意識させる為。
ーー戦国姫へ『貴方はある、戦国武将の姫君に選ばれました』何コレ。
ーー文面は今朝、三成に考えさせた。遅れをとった分、焦っているかと思ってな。パソコン書体なら差出人は分かるまい。ひまりの下駄箱にでも入れておけ。
入学式、裏庭の石碑で時間を潰そうと……自分の下駄箱開けた瞬間。
ラブレターが大量に落下。
俺は溜息を吐きながら拾っていたら……
ーー(ハートのシール?)
台紙付きの赤いハートのシール。
それが三枚、紛れていた。
それを見て、ヒントに閃いた俺はひまりの下駄箱に手紙を入れずに、裏庭に向かった。
鞄を持った時にこっそり忍ばせ、
その日の夜にひまりが騒いで……
ーーあのね!今日、魚座、恋愛運ばっちりで!ラッキーアイテムが手紙で!運命の人が身近にって!さっきね、会った人がね君は選ばれたんだね、とか言ってて!
今まで、全然興味なさそうだった癖に
バカみたいにはしゃぐから……
ーーで?そんなバカみたいな話、信じる訳?
思わず口から、そんな言葉が出ていた。ヒントを完成させるには手紙が、三通必要。二通目をどうしようか考えていた時、三成と政宗が……
ーー夏休み中は、なかなか会えませんからね『ある戦国武将は、貴方を求めて止まらない』なんて、以前のように手紙を入れておくのは、どうでしょう?
ーーまぁ、あの手紙で大分意識はするようになったからな。
ーーなら、俺が用意してくる。
二通目は三人の意思だった。