第173章 涙色の答案用紙(36)修学旅行編
すると、秀吉先輩と明智先生は顔を見合わせ笑い……
「鬼退治は既に終わっている」
「ひまりの泣き落としでな」
「は!?じゃあ何で刀持って……」
「貴様の根性を叩き直してやろうと、思ってな?有難く思え、手合わせしてやる」
鬼はガッ!と刀を地面に立て支えにしながら、立ち上がると……鞘から抜き
剣先を俺に向けた。
「案ずるな、そこまで斬れ味は良くないはずだ」
「……それより。ひまりの泣き落としって、どういうこと?本気で腹たってきたんだけど」
「青い餓鬼だな。敬語を使えと何度言えばわかる。羽織を脱がして、あのような格好で側にいれば……な」
シャキーンッ!!
気づけば、俺は刀を振り上げていた。剣と剣が重なり、バッと後ろに押し返され、間合いを取る。
「徳川家康。天邪鬼で野心家。どうやら、血の気も多いらしいな」
「俺は俺。ひまりもひまり。戦国武将、戦国姫……運命……言い伝えには頼らない」
ジリジリと近づき、その後に一気に間を詰め振り上げる。
カキーンッ!!
顔の前で、刀と刀のぶつかり合い。
こうやって交えると、確かに不思議な感覚はあるのが本音。生まれてこのかた一度も、刀を振るった記憶はないのにも関わらず、馴染んだように……身体も自然に動く。
ガッ!!!
押し合いを続けながら、
「その割には、手紙に手掛かりを残したようだな?」
「何で、知って……!くっ!あんなの大したヒントじゃない。現にひまりは、気づいてない」
そもそも、一通目は俺の意思なく始まった。