第172章 涙色の答案用紙（35）修学旅行編

見えた光。

家康とひまりは、寄り添いながら手を繋ぎ出口に辿り着く。


人として大切な、助け合う心。思いやる心。

光秀はそれを以前よりも強く学んだであろう、二人を出迎える。


「なかなかの仕掛けだっただろ？」

「いつ、俺の胸元に鍵なんて仕込んだんですか？」

「クッ…お前が景品を聞き、ぼけっとしている間じゃないか？」


光秀は仏頂面を浮かべ、口を尖らす家康を揶揄う。そして、ひまりに手招きして自分の元に呼び、石を渡した。


「また、同じ石……でも、あと一個だね！！勇気出せたから、次も頑張れそう！」


少し自信が出たひまりは、改めてくるりと振り返り、家康にお礼を伝える。すると、明るい場に出た所為か、照れ臭そうに「大したことしてない」と、家康は素っ気ない返事をすると……



今度は、お決まりのように……



シュッ。



「二人の絆、お見事でした」


「……やっと俺も慣れたし」



佐助が煙の如く現れる。


「ドキドキ、胸きゅんミッションはこれで終了です。三つ目のミッションは……」


「きゃぁぁ！！」


突如、ふわりと体が浮きひまりは悲鳴を上げる。


「暴れるな。大人しくしていろ」


光秀は軽々と抱き上げ、馬に乗せ自分も跨がった。



「ひまり！！」



家康は手を離した事を再び、後悔。

颯爽と駆け出す馬。



「三つ目ミッションは、鬼退治です。姫を助け出せば、クリアです」



では、これにてドロン！



家康はぎりっと歯を食いしばる。


そして、城を見上げ……


走り出した。


二つの試練を乗り越えた家康。



『最愛の姫を救い出せるのか……』