第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
二人は寄り添って座るように言われ……
弓乃は、スタッフから小道具の奥義を渡される。
「リラックスしながら、会話して下さーい!」
「……なぁ。一つ聞いて良いか?」
「な、何よ。変な質問しないでよ。変な顔したら、写真台無しになるじゃない」
足を投げ出し、片膝を立て、その上に腕を置き座る政宗。
顔だけを隣でちょこんと座る弓乃に向け、気になっていたことを尋ねた。
「……お前、元部長の秀吉先輩はどうしたんだよ?」
流石にこれだけの反応を見れば、弓乃の気持ちに気づく。政宗はまだ、ひまりのことを完全に吹っ切ったわけじゃない。
それは、弓乃もわかっていた。
しかし、
「……気づいたのよ」
そこで一旦、言葉を止め……
キュッと唇を閉めた後……
政宗を見上げる。
「憧れと、好きな人は違うってね///」
ドキッ……!
高鳴る胸はどっちの音かは……
「最後に奥義で隠しながら……」
カメラマンの声で掻き消される。
「……人が地味に弱ってる時にな」
グイッと政宗は、
奥義を持った方の弓乃の手を掴み……
「考えてやるよ」
その内な……
弓乃の心臓が大きく跳ねる。
二人は同時に目を閉じ。
唇が触れるギリギリまで、顔を近づけた。
出来上がった写真。
奥義で隠された二人は……
確実に友達以上の関係に、変化していた。
『ちょい甘?の修学旅行』幕閉