第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
秋の紅葉が漂う。
そんな雰囲気のスタジオ。
ハラハラと紅葉の葉が、舞い降り……
セットの真ん中、弓乃と政宗は小道具の傘を持ち、背中合わせにポージングを決める。
傘を開き、肩に掛けた弓乃。
「じゃぁ、その衣装。戦国武将の伊達政宗をイメージした扮装ってこと?」
「スタッフが俺の名前見て、ぜひ!だとよ。眼帯付けられた時は、ちと驚いたがな」
傘を畳んだまま肩に乗せる政宗。
二人の空いた片方の手は、スタッフの指示で繋がれていた。
カメラマンはすかさずシャッターを切り、数枚撮り終えると写真を確認。
オッケーのサインを出すと、二枚めのポージングへ。
今度は向き合い……
弓乃には、両足を揃え脚を投げだすように座るように指示が出る。
そして……
「こんな感じ?………えっ!///」
「おっ。ちっとは色気出たじゃねえか?」
女性スタッフが着物の裾を捲り、白い足を太腿ギリギリまではだけさせた。
政宗は「なかなか、良い眺めだ」と低く囁きながら弓乃の手を取り、膝まづく。
(悔しいけど格好良い///)
弓乃は頬を染め高鳴る胸を抑え、結果、その仕草が更に色香を増す。
見つめ合うように言われ……
二人はフラッシュを浴びる。
「オッケー!最後はカップルショット一番、人気のポージングをお願いします!」
両サイドにいたスタッフが、
いそいそと準備を始める。
セットの中に、
金屏風とぼんぼり提灯を立て。
朱色の小道具を並べる。
雰囲気はまさに江戸時代の遊郭。