第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
スタジオの入り口前__
スタッフさんにセットの準備が出来るまで、ここで待機するように言われ……バクバクする心臓を押さえながら待つ。
(うっ……やばい緊張して吐きそう)
昨夜、ひまりから自由行動を一日、徳川と回ることになったと聞き……
ーー全然!こっちは気にしないで行っておいで!
ーー本当にごめんね。四人で回ろう?って言ったんだけど。家康が、ゆっちゃん達もその方が都合が良いから。って、押し切られちゃって……
ーーほら、ちょっと耳貸して!実は……
私は、政宗のことを打ち明けた。
ほんとは、修学旅行終わったら話す予定だったけど、眉を下げて何度もひまりが謝るから……一番に言いたかったし?早く、聞いて欲しかった。
で、勢いだけで携帯で撮影予約。
(今回だけは、徳川にも一応感謝しないとね)
自分はひまりと二人で回れるから、一石二鳥なんだろうけど。
そんなことを考えて、気を紛らわせ。
私は大きく息を吸う。
政宗がどんな衣装着てくるか、
どんな反応するか。
期待と不安で……
何度も深呼吸を繰り返していたら。
そしたら……
「何、緊張してんだ」
頭がコツンってなって……
胸がバクバクからドキッ!に変わり。
振り返った。
「………………!」
私を見て、青い瞳に「驚き」が浮かぶ。片方だけ。片目だけ。
黒い眼帯を付け、青い衣装に身を包んだ政宗。文句なしに格好良くて、……嫌味ひとつ言えない。