第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
京都にある撮影スタジオ。
中に入ると、京都弁でのお出迎えがあって気分も上々!それに昨夜、ネットで撮影予約しておいたからスムーズに手続き完了した♫
「ちょっと!何で写真撮るのに、怪我してるのよ!」
「それは、こっちの台詞だ。勝手にカップル予約しやがって」
唇の端に切れた傷。
政宗は血が出ていないか確かめるように、その部分を親指でスッと撫でる。
(確か、徳川も怪我してたっけ?)
そうなると、大体何があったか私は予想はつく。
どうせあっちは、今頃……
「キスしてくれたら治る」
「えっ///ダメだよ!傷口にばい菌入っちゃう!」
「何言ってんの……一番の薬だし」
たった数秒間で頭に流れた映像。
少女漫画を数々読み漁り、恋愛ドラマを国内、海外関係なく作品を見てきた私。
可愛くて鈍感なひまりよりは、それなりに男心は理解してるつもりだけど。
だけど……
なのに……
「カップル予約だとキャンペーン中で半額になるのよ。それに、待ってるの暇だと思って、気を利かせてあげたんでしょ!ほら、将軍様か武将様に扮装してきてよ!」
そんな事を理由にしないと言えない。
好きな人には、素直になれないことを最近、知った。
(ほんと、可愛くない)
はぁ…。政宗が溜息を吐いた後に、後悔する。
でも、口をキュッと結んで視線を逸らせば……「仕方ねえ。乗っかった船か」と、文句を予想より言わず男性スタッフと一緒に、隣の部屋に入っていく。
政宗が中に消えた後、口を閉じたまま思わず笑顔が溢れた。
「では、女性の方はこちらへ」
「はい!お願いしまーす!」
部屋の中に案内され、中に入る。
すると視界全体に華やかな衣装が飛び込む。
私はスタッフさんに相談に乗って貰い、ご機嫌で衣装を選びを開始。