第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
しかし、出口付近で他の生徒に手を繋いでいるのを発見され……行く手を阻まれた家康とひまり。
「「まだ、幼馴染(だよ///)!」」
爆弾発言をして、余計に冷やかされていた。真っ赤に頬を染めるひまりとは違い、家康はふくれっ面を浮かべ既に彼氏ヅラ。
「多分、明日からは違うから手出さないでよ」
「もうっ!///」
呆然とそんな二人の姿を見つめる弓乃。そして数秒後に、確信。
(付き合ったら、間違いなく煩いわね!色々と!)
うんうん、と一人で頷いているとコツンと頭を小突かれ……
「何、一人で納得してんだ。俺らも行くぞ」
政宗はそのまま歩き出す。
「ちょ!荷物ぐらい持ってよ!ばか!」
お土産をたっぷり詰め込んだ鞄を掴むと、その後を追う。プンスカ怒りながらも、弓乃の足取りは軽かった。
大きな荷物だけを、バスに乗せた後。
二手に分かれ歩き出す。
『思い出作り』
「私の花魁姿見れるなんて、貴重よ貴重!」
「ったくよ。何でそんなモン付き合わされるんだ」
弓乃と政宗。
わちゃわちゃ騒ぎながら、バス停に向かう。
そして、
「三時頃に、つつじさんの所に行くんだよね?」
「荷物になるから、帰りに寄るように言われた」
「いいのかな?本当に」
昨夜、着ていた着物。
それを受け取って欲しいと、つつじから言われていたのだった。二人が観光している間に、準備しておくからと。その話を、ひまりは家康から聞いたばかりだった。
「……ほら、早く行くよ」
「うん!」
繋いだ手。
幼馴染、最後の日…?
二人は何処へ?