第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
『待ち合わせ』
ホテルのロビー。
他の生徒に紛れながら、ロビー近くの売店で仲良く買い物するひまりと弓乃。他のグループの女子達と、観光地の情報や、修学旅行中の他愛の話題で盛り上がりながら、先生の指示を待っていた。
その隙に、
ひまりは、ホテルおすすめ!と、目立つ所にピックが立てられた棚の前に移動。
(あ!白色もある!)
パッと目を惹くピンク色のボトルの隣に、期間限定で白バージョンのボトル。
白い山茶花、ピンク山茶花。
香りと色が違うが、
ボトルのデザインは同じ。
「う〜ん……どっちにしよう?」
ひまりはピンクを購入するつもりだったが……念のため、テスターで両方の香りを確認。
白色からは淡く優しい香りがして、ピンク色はほんのり甘く芳醇な香りがした。
両方の香りに惹かれ……
暫く悩んだが、
最後は直感と色で決める。
(やっぱり、ピンク!)
一つ手に取り、レジでお会計。
「オイルでもベタついたりせず、使用感もうる艶で良いですよ」
「お取り寄せも可能って、書いてあったんですけど……」
店員から取り寄せ方法の案内を受け取る。
「ピンクにしたんだ?」
「……うん。やっぱり、好きな色だしね!」
ひまりは、しんみり頷いた後。
袋を胸に抱き笑う。
そして、
二人は店から出て、待ち合わせ場所のロビーに移動するが……
生憎、ロビーラウンジのソファは満席。
二人は、他の生徒から少し離れ、家康達が見つけやすいように、ロビーの中心にある大きなアンティークの時計。
その前で待つことに。