第170章 涙色の答案用紙(33)修学旅行編
着ているものを全て脱ぎ。
コックを捻る。
あっという間に湯気が広がり……
均等に取れた筋肉。細身でも、しっかりと絞れている家康の裸体を覆い隠した。
シャーッ………
全身に熱い湯を浴び寝汗を流しきると、コックを締め、脱衣所で軽く拭き取りタオルを腰元に巻きつける。
部屋に戻り、面倒臭そうに髪を拭く家康を見て政宗はある事を思い出し……背後に近づく。
「ほら、貸せよ。拭いてやる」
「お節介?世話焼き?……の、つもり?その割には何か企んでそうだけど」
家康は何かを勘ぐり、タオルを奪おうとする政宗の手をヒョイと避ける。シャツを掴みボタンを下から留めていき、仕上げに赤いネクタイをキュッと締めた。
政宗はその様子を見てニヤッと笑う。
「折角、俺がひまりに髪を拭かれた時を、再現してやろうと思ったのによ?」
「……まだ、喧嘩売りたいの?(今日、その辺りのこと絶対に聞き出す)」
家康がギロッと睨み付けると、政宗は「冗談だ」と、言ってネクタイを軽く緩める。
かっちり締めた赤いネクタイ。
程よく緩んだ赤いネクタイ。
それが合図となり、
二人は部屋を出てゆく。
対照的な二人だが。
男になりかけたお年頃の男の子。
それは、同じ。
「お前、昨夜、夕飯食い損ねただろ?」
「……一応、食べた。京都まで来てコンビニのおにぎりだったけど」
政宗は、家康の肩を叩くとひまりが行きたがっていた店のメモを、シャツの胸ポケット入れ……
「後で、食った感想聞かせろよ」そう行って前をスタスタ歩く。
家康は軽く息を吐き、政宗を追いかけるわけでもなく、距離を保ちながら足を動かした。
家康とひまりの
「甘い、修学旅行の一日」
政宗と弓乃の
「ちょい甘?修学旅行の一日」
二組の自由行動の幕開け。