第168章 涙色の答案用紙(32)修学旅行編
病室の前。
「思うはあなた一人」の日。
私達には……。
天音ちゃんは、昨夜……
ーー明日……じゃないと、ダメなの?
ーーもっと……私には、罰が必要だから。
そう言ってた。
今日を選んだ理由……
プロフィール帳。
思い出して、繋がった。
「ひまり」
「少しだけ、待ってて。ちゃんと話しをしてくる」
私は手に持っていた袋を家康に渡す。
ピンク色のランドセルの縁ちゃん。
黄色のランドセルの女の子。
あの二人が
私達に足りないものを教えてくれた。
(それに、今日は……)
震えだす体。
落ち着かせようと、ぎゅっと両手を胸の前で組む。すると、家康がそれに気づいて……。
私を自分の胸にそっと引き寄せた。
また謝ろうとするから……
「大丈夫だから、ね?」
「……わかった」
私は家康から離れ、大きく深呼吸してノックをする。中から小さな返事が聞こえて、取っ手を掴み病室の中に一歩踏み込む。
扉を閉め……
「ひまりちゃん……」
昔と変わらず、天音ちゃんはベットの上で本を読んでいて……七年前にタイムスリップしたみたいに、色んな想いが込み上がってくる。
私を見て心底驚いたように目を開き、布団を剥ぐのが見えて……ベットから起き上がろうとする天音ちゃんに、無言で首を横に振ると……窓に近づき、カーテンを閉めた。
そして振り返り……
「夜分にごめんね。どうしても、今日伝えたくて」
「……もう、口聞いて貰えないかと思ってた。私、ひ、どいことを……」
私は閉めたカーテンを後ろの手で、一度強く握り、天音ちゃんに近づく。