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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第166章 涙色の答案用紙(30)修学旅行編




ザァァァァ……。


邪魔をするように降り注ぐ雨。


ゴォォォオオオ……。


急かすように唸る大嫌いな雷鳴。


震える人差し指を、
画面の上に置きスッと横に動かす。



そして……


ゆっくり耳にあてた。





「……ひまり」





不思議だね。


電話越しなのに……


近くで声が聞こえる。





「家康……」





荒い呼吸を
必死に気づかせないように、
整えるのが伝わって。


それだけで、涙ぐんでしまう。


なのに……

今までの気持ちと……

沢山の想い……



(そんな風に、想って…っ…)



くれてたの……?


心を揺らされるような言葉。

頷くことも、相槌も打たず……


私は涙を堪えて、
家康が伝えてくれる言葉を、
一つも、聞き零さないようにように……

携帯から耳を絶対に離さず、
家康が届けてくれる気持ちを、
一つも、落とさずに受け止めていく……

真剣な声、少し緊張した口調、でも力強くて、低いささやき声は耳から痺れて、身体中に広がる。




「……っ……う、っ」




しゃがみ込んで……




「俺の願い……
叶えられるの、ひまりだけ」




後は、電話越しじゃなくて
直接言いたいからって。





「……迎えにいく」




俺のお姫様を。




捕まえるんじゃなくて、迎えに行く。
って、言われた瞬間。


胸の中でずっと隠れていた……
消えそうで消えなかった……
奥深くに秘めていた想いが……

あっという間に膨らんで。

新学期に向かう途中までに……

抱いた気持ちより……


ずっと大きいモノに変わっていた。




「そこで待ってて」




新しい形になって溢れ出す。




「……っ、…だ、めっ」




私はしゃくり声を上げながら、
返事をする。




(私だって………)




震える手。
もう片方の手を添えて、携帯を落とさないようにしっかり持つと……







ーー後ね、渡りきる前に振り返るとね!……本当に叶えたいお願いごとがわかるんだって!何か答え合せみたいだよね!






橋を渡りきる寸前……
ゆっくり振り返った___


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