第5章 教師「織田信長」
黒板に向かい、チョークを荒く動かす先生。
大きな字で織田信長と書くと生徒の方に顔を向け、
「戦国学園の天下を取る男だ。……覚えておけ」
ぷっ……。
思わずニヤリと笑う先生と目が合って、噴き出す私。
「姫宮、俺が担任になったからには赤点など取らさんぞ?」
「は、はいっ!」
私がビシッと姿勢を正して返事をすると、教室中に笑い声が響いた。
織田先生の教科は歴史。
私が一番苦手な科目で、一年生の時から追試を受けてばっかり。
しかも、弓道部の顧問もしていて……
部活中は鬼のように厳しい。
(家康、織田先生なの知ったらきっと驚くね!)
家康はこれで織田先生が担任二年目。
部活でも織田先生にしょっ中、拳骨貰ってるし。
終了のチャイムが鳴る。
私がいそいそと帰る準備をしていると、先生に日誌で軽く頭を叩かれ……
「……後で、面談室こい」
「へ?まだ、赤点取ってませんよ!」
言い返す私に、先生は口答えするなと軽い笑みを浮かべ教室から出て行く。
私は政宗にその事を伝え、面談室に向かった。