第163章 涙色の答案用紙(27)修学旅行編
数分流れた沈黙___
体調も心音も今は落ち着いていると、天音ちゃんが先に口を開き、私はゆっくりと顔を動かして、正面に向き直る。
「話って、昨夜の話だよね……?私になりたかったって、一体……トリートメントと何が関係あるの?」
疑問をそのまま口にした。
すると……
天音ちゃんは……
病院服のポケットから……
ピンク色の封筒を取り出した。
私は意図がわからず、昨夜同様。
ただ、見つめていると……
「中のプロフィール帳。見て……」
え……?私は戸惑う。
中身を知っているから、尚更。
(これを見たら。何かがわかるの?)
強い風が吹いたみたいに、揺れている封筒を、同じぐらい震える手で受け取る。
ーーこっちの黄色がひまりちゃん。私がピンクの方みたい。
(天音ちゃんのだよね……?ピンク色……は…)
中身を取り出して、
上から下に向けて、
家康の字を目で追い……
一番下の二つの項目を見た、瞬間。
(う、そ…………)
みるみる字がぼやけて読めなくなる。
貴方と私の思い出の場所は?
「学園の石碑」
貴方にとって私は?
「大切な女の子」
(学園の石碑…って。もしかして、戦国学園の……?)
ーー言い伝えごっこ。
失ったパズル。
それが、ピタリとはまる前に息が苦しくて、その場にしゃがみ込んだ。
天音ちゃんは、入院してから病院から出ていない。一度、家康の家には来た事があったけど、あの時は私も一緒で……学園の石碑になんて……。
行っていない。
確か、私が持っている方には「春の庭」
家康の家の庭かと思って、
特に何も不思議に思わなくて。
(もしかして……)
春に一度だけ、
三人で遊んだ病院の……庭?