第161章 涙色の答案用紙(25)修学旅行編
外に出て
真っ先に見上げた空。
広がる青色の下で、
俺は胸を撫でおろす。
「用が済んだら、合流するように言ってあるから」
「うん。ひまりちゃんに話したいことあるから」
俺はその言葉に眉を寄せる。
まだ、トリートメント返してないのかと聞けば、昨夜ホテルで返したと白鳥は言う。
「ってか、何で修学旅行中に?」
「……ごめんね」
早く返してこいとは言ったが、まさか修学旅行中なのは予想外。謝る白鳥に、俺に謝る必要はないとだけ言う。
今朝、朝食時に見たひまりの様子。
特に、違和感は感じなかった。
(無理してないと良いけど)
バカみたいにお人好しな性格。
ちゃんと謝れば、怒りはしないだろうけど。いや、寧ろ本音は怒って欲しいぐらい。
(まぁ。それは、ひまりが決めること)
俺にとやかく言う権利はない。
ひまりと何を話すのか一瞬、気にはなったが、合流すれば自分も近くにいるし、大丈夫か。と、そこまで深く考えず。
目的地まで急いだ。
赤い鳥居を潜り、参拝場に向かう。
白鳥は長い時間を掛けて念入りに祈願すると、お守りを買いに向かう。何でも、海外赴任の父親に渡したいらしい。
「もう、いいの?」
「うん。この神社の安全守り。凄く御利益あるって、聞いたから」
短い滞在時間でまた、
赤い鳥居を潜りその神社から出ると……
彼岸花が咲き乱れる、山道を歩いた。