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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第153章 涙色の答案用紙(17)




暫くして、
店内に響く赤ちゃんの泣き声。

私は、すぐにさっきの三人組の奥様方のテーブルに視線を移す。おぎゃぁ!と元気な声を上げ続け、お母さんにあやされながら、一生懸命何かを伝えてる。


おっぱいかな?
オムツかな?


そう、思いながら口元を緩めた時。



「うっせーなぁ!」


「赤ちゃん連れて来るような店じゃないし〜」



後ろの席に居た、大学生ぐらいの派手めなカップルがわざと大きな声でそう言って、机をボンッ!と叩いた。

私はお皿を拭いていた手を止め、咄嗟に体が反応。


「お客様、すいません。声を荒げるのは、やめて頂けませんか?」


カップルがいる席まで移動して、頭を下げた。



「はぁ?赤ん坊は泣いても、注意されねえのに、俺はされるのかよ?」


「この店、店員の教育なってないんじゃなーい?」



女性客の人は厨房にいる政宗に聞こえるように口元に手を添え、大きな声を出す。

赤ちゃんを抱いた人がその拍子に立ち上がり、私と目が合うと申し訳なさそうに頭を下げて、伝票を掴むのを見えた。


「お客様!待って下さい!」


テーブルにはまだ注文したスイーツが半分以上残っていて、慌てて止めようとした時……


「何で、止めるんだよ!帰りたきゃ帰らせればいいだろ!」


「だって、まだ半分以上残って!赤ちゃんは……っ…! 」



つい、うっかり接客中なのも忘れてしまい、口を塞ぐ。


「ほんと〜この店、最悪〜客にまともに敬語使えないとか〜」


他のお客さんがこっちに視線を向けて、コソコソと耳打ちし始めた。

ぎゅっと、付けていたエプロンを握る。どう対応していいのか、わからない。



(どうしよう!政宗の店の評判が……っ!)



お礼をしに来たのに、迷惑しかかけられない。


「気にしないで下さい。私達、帰りますので」


泣き続ける赤ちゃん。
このお客さんは何も、悪くないのに。
赤ちゃんに罪はないのに。


何にも出来ない自分が嫌で、俯いた瞬間。



「赤ん坊は泣くのが仕事だ」



後ろに引っ張られた腕。



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