第152章 涙色の答案用紙(16)※家康様side
次の日の昼休み。
ガヤガヤと騒ぐ声も珍しく気にならないぐらい、黒板見ながら箸と口を動かす。隣で白鳥も何かを思いつめたように、俺より一回り小さい弁当箱を見つめていた。
晴れた日、
四人で食べていた青空はここ数日消え……
「今日のは、隠し味変えてあるからな」
「……ほんと、ふわふわしてる」
「あ!もしかして〜マヨネーズじゃない?この前、テレビでやってたから!ふわふわになるらしいよ!」
小春川は席が元々、ひまりと近い。そこに政宗も加わり三人で昼食。
俺は視線を黒板に戻して弁当箱をしまうと、席を立つ。
「秀吉先輩に呼ばれてるから」
「……うん。いってっしゃい」
白鳥に体調悪くなったら誰かに言うか保健室行くようにだけ伝え、扉に向かって歩き始め……出る直前、ひまりの顔色が気になって、視線を向ける。一見、元気そうだが政宗と小春川の会話に相槌を打ち、頭を押さえていた。
(……無理してなきゃ良いけど)
俺は内心それが気になって、気が気じゃなかったけど、とりあえず三階に向かう。
滅多に行かない三階。
入り口から覗き込めば相変わらず女生徒に囲まれ、愛想笑みを浮かべる秀吉先輩の姿を発見。
入り口付近に居た弓道部の先輩に、声を掛け呼んで貰う。
「折角だ。何か、奢ってやるからついて来い」
「用件だけで聞いて戻るつもり……なんですけど」
「たまには良いだろ?ほら、いくぞ」
秀吉先輩は片目を瞑り、断る俺の肩を手を置いて歩き始め……自動販売機がある場所に辿り着くとポケットから、財布を取り出す。
「……部員が、部長と副部長の様子が変だって。俺のところに報告に来てな」
「話ってもしかして、それですか?」
世話焼きの秀吉先輩なら、
有り得そうな話。
「自覚はあるみたいだな」先輩はそう一言、言って壁にもたれ掛かる。
俺は奢ってもらった、パックの野菜ジュースにストローを通すと、階段に座り込んだ。