第27章 「苺のポッキー(9)政宗様編」政宗様side
ひと気のない公園に、
年頃の男と女。
まさか、何もされないなんて
安心してんのは大間違いだ。
自覚なし子でも、
いい加減、自覚しろ。
惚れた女が目の前に居て……
花みてえにふわっと笑って、
菓子なんか差し出したら……
保証なんてある訳ないだろ?
俺は折れそうなぐらい細い腕を引っ張り、顔を近付ける。
「政宗………」
揺ら揺ら瞳を震わせ、不安げに俺の名を呟くひまり。
俺はフッ、と笑い口を寄せる。
(かなり、美味そうだな……)
カプッ……。
口内に春らしい甘さが広がり、
家康は、これ以上の快楽を得たのかと思うと嫉妬で気が狂いそうになる。
パキンッ……
ひまりの手先に少しだけ残し、掴んでいた腕を解く。
口ん中で苺の味を噛み砕き、
「たまには悪くねえな。市販の菓子食うのも」
俺は礼を言って、軽くひまりの頭を撫でた。