第26章 「苺のポッキー(8)政宗様編」姫主side
「……まさか、それで落ち込んでるのか?」
「ううん。ただ、幼馴染なのに何にも知らないなぁ……と思って」
語尾がだんだん小さくなる。
キスの話は流石に政宗には出来ないし……。でも、それとなくなら聞いても大丈夫かな?
(ちょっと恥ずかしいけど)
私は缶を握り締め、
視線を泳がしながら……
「政宗だったら……そ、の…好きな子以外と…キス出来る?///」
勇気を出して聞いてみた。
すると暫く間が空いて……
「……………」
無言のまま、険しい表情を浮かべた政宗。
それを見て、
変なことを聞いてしまったのかと、心配になった私は、やっぱり今のは忘れて!とお願いをすると……
政宗は、持っていた缶コーヒーをベンチの手摺に置いた。
「……つまり、家康にされたんだな」
何ですぐにバレちゃうんだろう。
今度は私が無言になる番だった。
「……俺は家康じゃないから、家康の気持ちは知らねえ」
「ご、ごめんね!何か変な話になっちゃったね!あっ!そうだ!」
私は話題を変えようと、鞄の中から箱を取り出す。
「お腹空かない?ミルクティー奢って貰ったお礼に、一緒に食べよ!」
まだ、一袋残っていたポッキーを私は取り出す。
一瞬、脳裏に教室での出来事が浮かぶ。
慌てて首を横に振り、かき消す。
場を持たすのに、何か食べてないと落ち着かない。
急いで袋を破り、
はい!
政宗に一本差し出した。
けど、何時迄も受け取って貰えなくて……
(もしかして、チョコ嫌いなのかな?)
首を傾げる。
引っ込めようかと悩み、
手を引き掛けた時……
「……俺は、惚れた女となら」
いくらでもする。
掴まれた腕。
政宗の顔が近づいてきて……
ポッキーを思わず、
落としそうになった。