第151章 涙色の答案用紙(15)
次の日も空は灰色に染まり、じとじとと、絡みつくような雨が降っていた。
赤い瞼。
両首筋に付いた赤いシルシ。
新しく買った赤めのリップを、とても付ける気にはならなくて……
トリートメントだけ付けて、髪は両方下ろした。
そして、あの皺くちゃになった手紙と残りの二通を鞄の中に入れて、カーテンを開ける。
すると青い傘が見えて、私は急いで下に降りて行った。
連日続く雨。
そして心の中でも降り続ける雨。
自分でも気づかない間に、それは体調にまで影響していて……
体育の時間。
大好きなバスケの授業。
それでも気分は一向に晴れなくて…… 今日は一言も家康とは言葉を交わしてない。天音ちゃんとは話すんだけど、時々急に口籠もりながら何かを言いかける時が多々増えて……
ちょっと気になる。
「女子集合ーー!」
体育はニクラス合同。
男子は小雨の中、野外走をしていて体育館の中には女子のみ。
「今日こそ、負けないわよ」
「……でも、今日は普通の授業でクラスマッチじゃないよ?」
「バスケ部のキャプテンとして、あなたに負けるなんて、嫌なのよ」
築城さんにクラスマッチ以降、バスケの方で闘争心を何故か燃やされ、私は力なく笑う。
本当は高校でもバスケやろうかと、ちょっと悩んだ時期もあった。
ーー弓道部入るの?
ーーうん!だから今度、必要な道具買いに行くの付き合ってね!
ーーそれは、別に良いけど。まぁ、ひまりが決めたんなら。良いんじゃない?
家康は特に深く理由を聞かなかった。いつも、そう。私が決めたなら良いとか、ブツブツ文句言いながらでも、追求したり無理意地はしたりしないで……。
私は順番を待つ間、膝を抱え。
チラリと体育館隅に見学している天音ちゃんを見る。
綺麗な金色の髪。
その左耳上の四つ葉のヘアピン。
「ほら、ぼっーとしてないで!ひまり行くよ!」
「う、うん。がんばろうね」
ズキズキする頭。
私は立ち上がると、ゆっちゃんと一緒にコートの中に入った。