第150章 涙色の答案用紙(14)※家康様side
同じように隣に移動して、ひまりの窓を見上げる政宗。別にこれと言って喋るわけじゃなく、俺らは無言で雨の中を佇む。
ひまりを想う気持ち。
勝ち負けとか、どっちのが大きい小さいとかそんな問題じゃ無い。
(ひまりへの想いは、消えない)
昔も今も、明日も、明後日も……
いつまでも___
研ぎ澄まされた空気の中。
まるで、花火のようにパッと黄色の明かりがひまりの部屋に灯る。
そして、
先に口を開いたの政宗。
「……俺があいつの笑顔、守ってやる。これ以上、他の女にかまけて誰かさんに泣かされる前にな」
「かまけてなんか無い。俺には……」
ひまりの笑顔以外、見えない。
それが合図かのように俺たちは、同時に背を向け反対方向に歩き出す。
守りたい笑顔。
取り戻したい笑顔。
同じ『笑顔』でも、二人の想いは違う。
そして、次の日……。
またひまりの笑顔を……。
首筋に見えたシルシ。
俺が付けたヤツじゃない。
頭にのぼる血。
気づいたら……。
ーー『なんで……っ…』
ひまりを泣かせてた。
空回る関係。
すれ違う想い。
繋がらない心。
記憶の中の笑顔が薄れ……
気づいたら壊れた笑顔と泣き顔しか……
俺は見ることが出来なくなってた。