第148章 涙色の答案用紙(12)※家康様side
病院の待合室で適当に本を読み、待つ。暫くすると、ほぼ半日がかりで検査を終えた白鳥が、俺の肩を叩いた。
「雑貨屋さん?」
「……すぐ、終わる。ヘアピン渡してひまりと、ちゃんと話したいから」
「私も……ひまりちゃんに、謝らないと」
「…………」
白鳥は、俯いて俺の隣を歩き出す。
ひまりを傷つけた事を悔やむ点では、同罪。俺には強く責める権利はない。
普通の女なら放っとくか突き放すが、出来ないのは……ひまりにとって、白鳥は大事な幼馴染。
後、ファーストキス間違って奪った責任感も、少なからずある。
「一度、問い合わせしてみますが何しろハンドメイド品になりますので」
「……お願いします」
俺は、自分の携帯番号をメモ書きすると一礼して店内を出た。
すると、白鳥は四つ葉のヘアピンを手に取りワゴンの前で、可愛いと呟く。
「……それ、一点物らしい」
三つ葉もそう。もう、同じ物はない。
それでも、探したかった。あんまり長いこと眺めてめてるから、痺れを切らした俺は、
「欲しいなら、買ってこれば?」
「……そうだね。買ってこようかな?」
何気なくそう言った。
早く帰りたいのと、明日こそひまりと少しでも話をしたい。
まさかこれが、更に誤解を生みひまりを追い詰めるとは、思わなかった。
この時さえもひまりのことしか考えていない俺。
見過ぎて……
肝心なことを見失い始めていた。
明日こそ、必ず。
俺は、帰り道そのことしか頭になかった。