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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第147章 涙色の答案用紙(11)




教室から飽きるほど眺めた、青空の下。


「ほら、これ食えよ」

「玉子焼き……いいの?」

「ほぉーら!私はカニさんウィンナーあげるから!」

「え?タコさんじゃなくてカニさん?」


まだ、味がよくわからないお弁当。
でも、お母さんと二人の愛情を貰って午後の授業は過ぎていく。


ーーお前は気にしすぎた。今は、自分のことだけ考えろ。いいな?

政宗も。



ーー謝らなくていいから!あと、無理に笑うのも禁止だから!

ゆっちゃんも。



そして、先生も。



まだ昨日の今日。
心は追いついてこない。
けど、きっと少しずつ見えてくるよね。


いつか……。

明日、明後日、一年後……
私と家康は……
どんな関係でいるのかな。


前を向いたり。
立ち止まったり。
後ろを振り返ったり……。


それを繰り返しながら、
きっと時間は流れていく。


昼休みの間に無くなっていた
……家康の鞄。


そして、私の下駄箱に……


家康に渡せなかった答案用紙より、
くしゃくしゃになった手紙が一通。


差出人不明。


水に濡れたのか便箋は変色して……
中身も滲んで読めない。


でも、赤いハートのシールを見て……


あの手紙の三通目。
ただそれだけはわかった。


もう泣かない。
もう泣きたくない。

傷つくのを恐れて……

肝心なものを、沢山見落とした私。
一番大切な心に、気づけなかった私。


そして、本気の恋は……
簡単に消せなくて。
実は全然、閉じ込めれてなくて。

それを、知るのはここからだった。



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