第24章 「苺のポッキー(6)政宗様編」姫主side
___部活終了後
私は、女子更衣室で帰り支度をしながら他愛のない話をして気を紛らわせていた。
新作の映画を今度見に行こうとか、ゴールデンウィークに遊びに行く約束を交わす。一年生が入部して来て、前よりも人数が増えた更衣室は花が咲いたように盛り上がる。
(家康は、あのまま帰ったみたいだし……)
てっきり、道場に居ると思っていた私は姿がない事に気付いて……
ーー家康は一緒じゃないのか?
ーー来てないんですか?
道場に入って早々、秀吉先輩に尋ねられて思わず逆に聞き返してしまった私。
ーーお前の様子見て来るって、言って出てったきりだ。心配してたんじゃないか?彼奴なりに。
ーー心配?何のですか?
ーー腕の痣だよ。お前が、スランプになってたのも一番早くに気付いてたからな。
秀吉先輩は落ち込んで部活に来づらい私を、てっきり家康が呼びに行ったのかと思った。そう、教えてくれた。
(痣の事、何で知ってたんだろう?)
毎日、行き帰りは制服着てたし。
部活中も胴着からは見えないようにしてたし。
心配して、様子を見に来てくれた。
その事は素直に嬉しい。
家康は、口数少ない分ちゃんと態度で優しさを出してくれる。
その事は一番解ってるつもり。
ーー俺だけ見てたら、すぐ解る。
幼馴染としてじゃなく、一人の男として。そう言われた時、ドキドキするのと一緒ぐらい悲しくなった。
(私は家康が幼馴染で、嬉しいのに。家康は違ったのかな……)
バイバーイ。
皆んなと別れの挨拶を交わし手を振りながら、外に出る。
すると、
入り口で政宗が携帯を弄りながら、立っていて。
私に気付くとポケットの中に荒々しく放り込み、帰るぞ。と言って歩き出した。