第24章 「苺のポッキー(6)政宗様編」姫主side
職員室の扉に手を掛け、軽く息を吸ってから横に開く。
放課後の時間。
ほとんどの先生は部活の顧問に出ていて、中に居たのはほんの数人。
私は失礼します。とドアの前で軽く頭を下げ不在だった織田先生の机の上に、日誌を置いた。
(先生に謝らないと、道場にいるかな?)
遅くなったのは元々は自分のせい。
私は机の上に置いた日誌を捲る。
今日のページを広げ、
感想の所に書いた文字を見て……
訂正しとけば良かったかな?
と今更思う。
まだ、落ち着かない心。
(家康、今頃部活に行ってるよね)
そう言えば、何で教室に……。
すっかりその事は聞きそびれてた。
「失礼しました」
職員室から出て、鞄を忘れたままなのを思い出し躊躇しながら教室に戻る。
ドアの小窓からこっそり覗くと、もう家康の姿はなくてホッと胸を撫で下ろした。
横に掛けてあった筈の鞄が、机の上に置かれていて……まるで忘れてるぞ。って言われてるみたいに見えた。
開けっ放しだった窓はいつの間にか閉まっていて、電気も消灯してある。
家康のさり気ない優しさ。
昔からいつもそう。
(正直、顔見るのは気まずいけど……)
朝練に参加出来なくなる分、放課後は少しの時間でも参加したい。
副部長の事もあって、自然と足は重くなる。
私は気合いを入れるように、軽く頬を叩き教室を後にした。