第145章 涙色の答案用紙(9)天音ちゃんside
入院してからずっと毎日、
白いカーテンが靡くのを見ていた。
外の景色。
見るのが恐かった。
光を見るのが恐かった。
明るい声を聞くのが恐かった。
だから、私はずっと本がお友達。
入院して最初の頃。
日めくりカレンダーの日付を見て、
『また、今日が来た』
そう思うのが精一杯だった。
そして、ある日。
「はじめまして!姫宮ひまりだよ!仲良くしてね!」
「おれは、徳川家康」
私に「幼馴染」が二人もできて……
ようやく止まっていた心の針が……
動き始めた。